森の役割って?

森には、私たちの暮らしや地球環境を支える多くの役割があります。水や空気を育み、災害から地域を守る。そして、生きものたちの命をつなぐ場所としての機能はもちろん、心を癒やし、文化や伝統を支える役割も持っています。
静かにたたずむ森の存在を、日常生活で意識する機会は少ないかもしれません。ですが、私たちが普段当たり前に生活ができているのは、水や空気、そして木材など、多くのものが森の存在によって支えられているからです。
1. 水を育む
森は、降った雨を地中に蓄え、少しずつ川や地下水に送り出すダムの役割を果たしています。たとえば、日本では森林が国土の約67%を覆っており、これにより毎年約4700億トンもの水が地下に浸透すると推定されています。この仕組みのおかげで、飲み水や農業用水が安定して供給されています。さらに、森林の保水力は洪水や渇水を防ぎ、地域の暮らしを守る働きもしています。
2. 災害から地域を守る
森は土砂崩れや洪水を防ぐ自然の防波堤でもあります。木々の根が土壌をしっかりと固定することで、豪雨や地震などの災害時にも土砂流出を防ぐ役割を果たします。森の木が過剰に伐採されたり、適切な管理がされずに木の根が弱ってしまうと、土壌流出が増加し、洪水のリスクが増えるといわれています。森を守り育てることは、災害リスクの軽減に直結しているのです。
3. 空気をきれいにし、温暖化を抑える
木々は成長の過程で二酸化炭素(CO₂)を吸収し、酸素を生み出します。成長中の木1本が年間に吸収するCO₂は約22kgで、日本全体の森林は毎年約2億トンのCO₂を吸収しています。これは国内の温室効果ガス排出量の約17%を相殺するほどの量です。また、空気中の汚れを浄化し、私たちが快適に暮らせる環境を維持する働きも担っています。
4. 生きものたちの住みか
森は多くの動植物の住みかであり、命がつながる場所です。地球上の生物種の約80%が森林に依存していて、日本でも森の中で多様な生き物が暮らしています。生態系のバランスが保たれることで、農作物の受粉や害虫駆除など、私たちが間接的に恩恵を受ける仕組みも生まれています。
5. 癒しと安らぎ
森の中を歩くと、木々の緑や穏やかな風、自然の音が心を落ち着かせ、日常から少し離れた静かな時間を味わうことができます。こうした森の癒しの力は、自然が持つ独特の環境によるものです。森に囲まれた環境で過ごすことは、ストレスホルモンを減少させ、リラックスを促す副交感神経の働きを高めるといわれています。森は単にリフレッシュの場であるだけでなく、日常に戻ったあとも前向きな気持ちや心の安定感をもたらし、私たちの心身の健康を支える大切な存在です。
6. 文化や伝統を支える
森は、私たちの文化や伝統の根幹を支えています。たとえば、神社や寺院の周囲にある鎮守の森は、古くから地域の信仰や暮らしに欠かせない場所でした。これらの森は、人々が守り続けてきた心のよりどころでもあります。また、森から生まれる木材は、建築や工芸品、家具など、さまざまな形で私たちの生活を支えています。その木のぬくもりや質感は、生活空間に安心感や豊かさをもたらすだけでなく、伝統技術や文化を次世代へつなぐ役割も果たしています。さらに、森は学びの場でもあります。子どもたちは自然の中で工夫して遊ぶことで、自然の多様性やその大切さに触れながら、創造力や問題解決能力を育んでいきます。
森は、私たちの暮らしや地球環境を支えるかけがえのない存在です。水や空気を育み、災害を防ぎ、私たちの心や文化にまで深く影響を与えています。そしてその森が本来の力を発揮するためには、健全な状態を保ち続けることが必要です。みうらの森林プロジェクトでは、森林を適切に管理し、森の恵みを次世代へとつなげていきます。
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